久しぶりの再会

伊藤さんが寝坊して長野に行く予定が甲府に変更になった。
いくつかのハプニングを経て気づいたら財布の中の中から
夏目さんが2名away from me without saying good-bye.
やけに富士山がそばに見えると思ったらわれわれは河口湖を
通り越して富士五湖道路を突っ走っていたのだった…

目的はゼミのため長野に合宿に行ってた高田ちゃんと
合流するために長野方面に向かっていたのに
出発時間が遅すぎたのとチェーンもなくて危険なのと
長野は遠すぎるという理由から合流するのは
甲府ということになったのだ。

甲府といえば。昔私が住んでいた土地。
甲府という響きにはなじみもあるし未練もあるわけで。
あの決別していたと思われた友、文子のいる土地。
思えばもう2年半ほど連絡をとっていない。
それは忘れていたわけではなくて故意だった。
拒絶されるかもしれない恐れだけで連絡をたっていた。
根拠がないわけではなく自信がないだけだった。
その自信のなさが私に確信を抱かせていた。
幸い隣には仲のいい友達がいる。
今を逃したらそのままになってしまうような気がして
甲府駅前で記憶に刻み込んだ電話番号をプッシュしていた。

そのまましばらくお待ちくださいという人口音声のあと
聞き覚えのある声がした。
お父さんが出て彼女がたった今出かけたこと、居場所を伝えた。
知樹を拾ったら行き先はもう決まっていた。
旅の続きはあたしの思い出旅行ということにしてしまった。
彼女が携帯電話を好まない性質であり事実数年前持っていなかった
こともあって携帯電話の番号は聞かないまま。

彼女の働く中華料理屋を探して文子のお父さん、交番、セブン、
といろいろな人を通じてやっと見つけ出した唯一のマークランド
大滝温泉。行き着いた先の中華料理屋は看板、店内の照明も落ち、
準備中の看板を掲げていた。「文は?」と聞いたら店主が異国なまり
の発音で「今日はお店休みだからいない」と答え、
奥さんが「私が具合悪いものだから今日はお休みにして帰ってもらったの」
とのこと。つまりまた行き違ってしまったのだ。

再び電話をかけたところ彼女はもう家に戻っていて
携帯電話も持っているという。久しぶりに話したその声は
昔の声と変わっていないけれど話の内容は最後に話したときと
同じようなシステマティックな感情を受けてやや動揺した。
けれど何事もなかったかのように話す彼女の声からは
自分の長年こだわっていたことが杞憂であったことを告げていて
私は2年という時間を無駄にしたことを悔やんだ。

理解ある友達の勧めもあって私は彼女の家に立ち寄ることにした。
それだけでなく図々しくお食事までごちそうになった。
突然現れて何をしているんだろうと思ったけれど…
自家製のソーセージにおいしい赤ワインと日本酒、
日本茶をご馳走になってかわいい猫にひっかかれ
文の家族と写真を撮り、何一つ変わっていない家2階で
最近読んだ本とか映画についての見解を言い合った。

相変わらず手先が器用な文は売り物にしても充分な出来の
キャスケットをこしらえていた。
LIBERと刺繍でタグサインも入っている。
ひとつはチェック柄のプリント生地のキャスケット、
もうひとつは白い無地のキャスケットでつばの裏地が黒地に
小花柄のついた生地でできているキャスケットだった。
失敗したやつ、と彼女が取り出した麻の帽子をお願いして
いただいた。素材もデザインも一目で好きになった帽子だったから。
主人と独特のテンポで話すこの珍しい来客にやっと
気難しい猫も心を許したようだった。

いくつかの面白い本のアドバイスをもらった後彼女の家を後にした。
おみやげに彼女の父さんが作った自家製のハムとチーズ、サラミを
いただいて。なんだか強奪のような訪問だったけれど自分の中で
ずっとしこりだった部分が解けていく思いがした。
今日はハッピーエンドだったと思った。
私のわがままに空腹を訴える以外に何の不服も訴えず彼女との再会を
すすめてくれた伊藤さんと知樹に心から感謝したい。
それからいきなりの訪問と食事を受け入れてくれた彼女と
彼女の家族にも。今日は一日ありがとうございました。
こんなに充実した一日は本当に久しぶりだ。
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by eringish | 2005-02-06 23:51 | 再会  

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