最後のバイト

学生時代最後のバイトが終わりました。
最後に厨房の社員さんが胡麻団子を揚げてくれました。
八百屋のおじいちゃんがポケットから手品のようにオレンジを出して
「これからがんばってね、銀行に遊びに行くよ」と
癖なのか短く刈り込んだ白髪頭に片手を当てて言ってくれました。
このおじいちゃんは可愛いし、大粒で甘いイチゴをたくさんくれるし大好きなんです。会えなくなって寂しいな。

それからおとといから化粧品の個人貿易を始めた崔さんは
あたしの使ってる洗顔石鹸を卸値で売ってくれ、
例のトニーさんは今日も一言も話さなかったけど
精一杯がんばった作り笑いで見送ってくれました。

おとといデビットカードが処理できなくて
レジの前で15分待たせたお客さんにクレームをつけられてしまったのですがそのお客さんが「今日は大丈夫だろうなぁ」といいながら来てくれました。


この年齢不詳な小鬼みたいな顔をした白髪のおじさんは
おととい「君の笑顔にやられた」などとわめき、
ホリエモンのCMのごとく斜めに回転しながら
店に入ってきて持参の緑色のルーペを取り出し、
メニューを舐めるように鑑賞した挙句、

「いいか、俺はなぁ食いたいものがあったんだけど迷ってるんだ、
ビーフンはな、俺の母ちゃんが作ったのがおいしくてぜんぜん油っぽくなくて本当においしかったんだよ。

まぁそのかあちゃんももう死んじまったけどな。まぁこれは外れるとまずいからやめておこう。

じゃああたりはずれのないところでギョーザとな、まずチンタオビールだ。チンがビンビン、なんちゃってな。
俺のはもう元気ないけどな」

などと下ネタで軽いジョブを仕掛けてきた。

「隣の店の制服もこうスリットがこの辺まで入ってて
色っぽかったんだけど君のその笑顔がね!いいねぇ」

なぜかこういう客は店の女子全員の勢力であたしに押し付けられる。酔っ払いと変な客専門の店員。

その後彼の本領は発揮される。
「いいか、セロリと牛肉の炒め物を注文するけど、これは油を使うな。
(そうはいっても炒め物なので油を使わないということはできないかと思うので極限まで控えるように伝えます)
脂っこくないようにしておけよ。
俺は体の具合が悪くてあぶらっこいものはだめなんだ。
それから野菜スープをもってこい。小さいサイズでいいぞ。
食後になったらシャーベットとな、ジャスミンティーを持って来い。大体この辺の店はお茶っていうと出がらしのお茶持ってくることが多いんだけどそれは絶対やるなよ、全然味違うんだから。
(あのー、お茶はサービス品になりますのでそういったリクエストにはお応えできかねるかと…)ばかもん!サービスだからだろう!」

しばらくしてから見てみると精力的にスープを飲んでいる。
しかし炒め物には手をつけていない様子。
手招きされる。

「まずこのスープ。これはハオチーだと伝えろ。
炒め物はプーハオ(不好)だ。あぶらっこい。
このスープはおいしいんだけどな、ちょっとペッパーが多すぎだ。俺はペッパーはあんまり好きじゃないんだ。」


え。そんなこと知らないし!!


「35年前に行った店はな、店内は狭くて小汚いんだけど
そこの大将は俺のわがままに付き合ってくれるんだ。
スープに卵落とせとかいうとな、やってくれるの。
こないだすぐそこの(中華街)店に行ったんだけどな、
なーんか店が変な女の店員を俺につけて来るんだよね、
俺にだって選ぶ権利はあるじゃん?
いやでもうその店はいかない。」

その間5分ほど。
微妙な顔をしながら突っ立って「はぁ」とか
「そうですかぁ」とか間抜けな返事しかできない店員。

クレーマーぽい雰囲気を感じ取りつつ
作りたてのお茶とシャーベットで
できるだけクレームが料理につかないように心がける。
しかし最後デビットカードの変則攻撃に観念しクレーム1。

今日も来たこのエキセントリックな小鬼おじさんは
一人で4人前の野菜スープ(ペッパー控えめ)とライス2人前を
平らげ、シャーベットとジャスミンティー(いれたて)を
楽しむと満足な顔になって私に手招きするとデビッドカードを差し出し「今日はできるよな。」と。
今日でバイトは終わりだと伝えると
「学生だったのかーお前はー(よく年増に見られます)
君がここのお店やめちゃうんじゃもう来ないよー
仕事がんばれよ!」
などとうれしいようなうすら気持ち悪いようなことを
言ってくれました。
「最後にインパクトある客がきてよかったじゃん
まあもう来んなって感じだけどな」(社員談)
確かに。
半年間お疲れ様でしたー
毎日面白かった。
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by eringish | 2006-03-06 01:27 | バイトネタ  

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