2004年 12月 07日 ( 1 )

 

柚子

「ご自由にお持ちください。」
バス停への道すがらの日のよくあたるいつもの小道でいつもと違うモノに出会う。
TAKE FREEだとか無料だとかご自由にお持ちくださいっていうのは
あたしにとってはものすごい引力をもつ文字なわけで。
しかもなにやらその張り紙のされている青色のプラスチックケース
には果物のようなものが入っているらしくて。
興味津々にゆっくり通り過ぎようとするとそれまで無心にビニール袋に
果物をつめていたおばちゃんと目が合った。
おばちゃんはちょっとばつの悪そうな顔をして
「持ってっていいらしいわよ、柚子」とあたしに向かって言った。
おばちゃんのビニール袋にはもう20個ほどの柚子が詰め込まれていて
ずっしり重そうだった。
柚子なんて別に用途もないからいらなかったんだけど足を止めてしまった以上
おばちゃんもあたしが共犯になるのを望んでいるようだったし
立ち去るのもなんか不自然なような気がして
「じゃあ2,3個・・・」とあまり傷んでなさそうな小さめの柚子をかばんに
入れようとすると「遠慮しないで最もっていきなさいよう」と
おばちゃんの弁。「いやでも袋もないんで。。。」と和やかに立ち去ろうとすると

「じゃあここでまってなさい。あたしんちすぐそこだからビニール袋とってきてあげるから、ね。」

断れないじゃないですか。なんかねぇ。そんな、明らかにおせっかいなんだけど
善意の塊!って感じの優しさをつきつけられたら。
なんかうれしいじゃないですか。

しばらくしてもどってきたおばちゃんからビニール袋を受け取ると
8つほど柚子をその中に入れてつかの間の下町風情にふけっておりました。


しかし。忘れちゃったんですね。
バスの中に。
下町風情の柚子の香りを。
なんかとってもいけないことをしたみたいな気になって
バス会社に問い合わせました。
運のいいことに家の近くの車庫に届いていました。
ほっとしたんです。

バス会社「はい、こちら恩方営業所」
あたし「あの、バスの中に忘れ物をしてしまったんですが」
バス会社「はい、お品物はなんでしょう」
あたし「あのーーーーーえーーーーー柚子、なんですが」
バス会社「あーーー。あれですね。ビニール袋に入ってる。」
あたし「それです、ええ。よかったぁ。
    明日あたりとりに行けばいいですかね」
バス会社「ええ、こちらでお預かりしておきますんで、大丈夫です」
あたし「では明日取りにうかがいます、失礼します。」
バス会社「あ!ちょっと待ってください!
これ、冷蔵庫に入れたほうがいいんですかね!?

けっこうウケた。のどやかな会話でした。
もらった柚子はいい香りがしております。
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by eringish | 2004-12-07 01:17 | ワシ的発言  

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