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自分の中のCocco【前編】

自分はいわゆるCoccoファンでありながら、
ブログで一度も彼女について触れたことがないので
彼女から受けた影響について初めて書いてみようと思います。


Coccoを語るにあたってはずせないのがhideの存在。
多分、Cocco信者の中にはきっかけがここにある人も多いのでは。

出会いは中学3年生の春。よく考えると11年前。
hideのピンクスパイダーとGLAYの唇がラジオで流れ始めた頃のこと。
それまで家族にミュージシャンがいたり、自分自身でもピアノをなんとなくやっていたりしたけど、自分で音楽やりたいなと思ったことは一度もなかった。流行の曲を口ずさんで歌手にでもなれたらいいなぁとか、そんなレベルで。
ピンクスパイダーを聴いて初めてバンドサウンドがかっこいい!と思うようになって口コミでいいって言われてるもの何でも聴いてみるようになったのがちょうどこのころ。
hideファンの間で、生前hideがCoccoというアーティストがヤバイみたいなことを言ってたっていうのがもっぱらの噂になる。タイトルは『遺書。』。
そして『ブーゲンビリア』を購入した。

なんというか、衝撃的な音楽だった。
でもそのころの自分にはCoccoの歌詞はいまいちピンとこない。
『首。』と『カウントダウン』と『走る体』をヘビロテ。
Coccoのアルバムはもう1枚出ていることを知ってアルバム『クムイウタ』を聴く。
『うたかた。』のメロディアスな旋律とからまってほどけない不安みたいなものが自分にとっての問題であり答えでもあるような気がしていた。

高校生になって進路をどうしようかって、
仲のいい友達と話し合って、今の日常から新しい場所を自分で選ばなきゃいけないことやこの日々が永遠ではないことなんかがだんだんと分かってきて、だけど動き出せない自分も、この場所が恋しい自分も本当で、身動きが取れなかった。
儚いものが美しいと信じた。少なくともその頃はそう思っていた。

自分の描く未来には今の日常はひとかけらもなくて、
それでもその未来は輝かしいものだと信じていた。
少なくともその当時よりは。
日々の些細なことで傷ついて、自分を傷つつけるものは全部
なくなってしまえばいいと思っていた。
一方で他人を傷つける自分は消えてしまえばいいと思っていた。
だけどどこかで永遠と呼べるくらい強く誰かとつながっていたくて、でもその術をまだ持っていなかった。大切にしていたものをすべて悪者にして壊してしまった。
いつの間にか自分でコントロールできるものが少なくなっていた。
だんだん自分の言葉で何かが変わってしまうのが怖くなっていった。
世の中は完璧で、自分の入り込む隙なんかないんだと怯えていた。
誰かが自分を見ていることが耐えられない苦痛だった。
だからみんなと別れてから、それからはずっと一人だった。
一番しっくりきたアルバムがサングローズだった。

「屋根には虚ろな鳩
甘美な言葉だけを
食べてしまった

返らない
戻らない
何もない
これ以上

ああ 思い出だけで
つながるしかなくて
ああ 途切れてしまう
息も絶え絶え
羽根は 舞い上がり
土に還る」

「崩れ落ちるあなたに
最後の口付けをあげる

すがりついた昨日を
振り払って私は星をたどる

行かないでって言って
離さないと言って
救いを求めて
膝をついて呼んで

悲しみ愛より深いのはだあれ
生まれ来る風に吹かれ 泣いて

でも大丈夫
あなたはすぐに
私を 忘れるから」

この後初めてCoccoの歌っている姿をテレビで目撃するも
これがかの有名な伝説のラストライブ。
はだしに白いドレスを着たあっちゃんはお辞儀とキスを残して姿を消した。
そして自分も大切なものを見つけてはなくすことを繰り返して、
何を信じればいいのか分からない日々が続いて
このままこの歌だけをリピートして生きていくのは辛すぎると思った。
どこにいても何をしていても小さなイライラが気持ちの底のほうにあって、誰かと比較したり、何かに焦ったりしながらもう何もしたくないくらい消耗していく毎日。
大好きな人たちにこの憎悪を悟られたくない、どうして自分は毎日笑っていられるんだろう、所詮自分にはだれかを愛したり愛されたり幸せにしたりすることは無理なんだ。
そう思いながら何年も前に進めないまま、『羽根』ばかりを口ずさみながら、
はやく楽になりたいって祈っていた。

自分はこんなにつらいんだよ、誰か分かってよ

2003年、思考回路がエンドレスに恨み言になる前に、Coccoを封印した。

by eringish | 2009-01-01 20:16 | 音楽  

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