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みなとまち大学リーグ参加記2

だいぶ冗長気味になってしまったけれどせっかくなので第二回。

横浜国立大学環境情報研究院教授の松田裕之先生の講演。
タイトルがかっこよくて「日本漁業の管理と保全:長い伝統と現代の挑戦者たち」。
なんか中島みゆきの歌声の聞こえてきそう。


松田先生の研究発表の内容は主に「漁業と生態系の関係について」。
当初タイトルから漁業の手法とシステムなんかについて発表してくれるのかと思っていたので
少々残念ではあったけれど、そもそも突き詰めれば
生態系を語ることなく漁業システムを語ることはできないはずだということをすっかり忘れていた。





以下講演要旨。


日本の漁業の特徴は、生産はもちろん海洋管理までを国家資本に頼らずにやってきたことである。
日本の海洋資源は主として漁業従事者によって守られてきた。
生態系や種の多様性についても長い間、ハマのしきたりの中で保全されてきた。

しかし経済的な発展などを背景に乱獲やそれによる生態系バランスの異常が
発覚し始めると、漁業従事者の自治に任せていた漁業ルールに国家が介入し、
漁業従事者に対し、(主に漁獲)規制を行うことで
生態系維持を図る措置がとられるようになった。
半世紀ほど続いたこのモデルも、近年では新たな展開を見せている。

きっかけは世界遺産である知床半島の資源管理計画である。
政府は、この計画の中でこれ以上の漁業従事者への規制を行わない方針を明らかにしたのである。
これはユネスコおよびIUCNが環境要因と生態系との関連データの
活用方法と環境基準を定めたことからの影響が大きいと思われる。
データの活用方法と環境基準を定めたことによって、地域レベルで自発的な活動が
促されることが期待されるからだ。
資源管理計画で行動規範が示されたことで、
地域に合ったより効果的で柔軟な環境活動が広まることだろう。

松田先生は地域における環境保全活動の例として
伝統漁法、魚垣(ナガキ)を挙げた。
みなとまち大学リーグ参加記2_a0032796_0134938.jpg←宮古島の魚垣
魚垣は、沖縄(主に小浜島、伊良部島)、九州、ポリネシア、東南アジアで広く見られる伝統漁法のこと。
海の浅瀬に石垣のようなものでプールを作り、そこへ入った魚を干潮時に捕まえる昔ながらの漁法だ。
この漁業システムは取り過ぎない漁業で海を育てる役割もあるところが特長であるが
漁具の発達とともに現在では一部を除いて魚垣による漁業はあまり行われていない。
しかし、魚垣の跡地は各所に残っており、その水産的文化価値の高さから
漁村歴史文化財百選に認定されてもいる。

海を育てた漁業スタイルが文化財となって地域の人々の手で保全されていく、
同時にそこに生息する生態系をも守り、持続可能な発展を成し遂げていく、
そんな里山ならぬ里海のスタイルが地域で引き継がれていく体制が
草の根レベルで整いつつある。





松田裕幸先生は生態学の研究者で、ユニークな視点から研究を行っている。
さまざまな研究の成果が載ったHPの目次にぽつんと「私のお勧めの歌」とあり、
「発生学の歌」「遺伝学の歌」「進化学の歌」がそれぞれリコメンドされている。
こういう遊びの分かる先生は大好きだ。
それにしても「発生学の歌」がおたまじゃくしとはしゃれている。
ページの下のほうに「リスク管理の歌」として中島みゆきが載っていた。
なんだ、結局中島みゆきが好きなのか。

ウルルン滞在記でも台湾の澎湖諸島で伝わる魚垣漁(スーフー漁)が紹介されたことがあって、
おもしろい漁法だなって気になっていたけど、日本でも古来からあったんですね~
仕掛け漁は凝ってる分とってもドキドキします><
試験終わったら修学旅行してこよっと。

↓ 澎湖諸島の石滬 (スーフー)
みなとまち大学リーグ参加記2_a0032796_0124834.jpg
この美しさから台湾のハワイとも呼ばれているそうです☆

by eringish | 2009-06-02 00:15 | 勉強とか  

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